新棟完成で救急医療体制を整備
166 国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院(神奈川県横浜市)
景勝地として知られた「金沢八景」。現在は、横浜市立大学や関東学院大学などがあり、学生の街として有名だ。その閑静な住宅街に建ち、地域医療を担ってきたのが、改築された横浜南共済病院だ。
その歴史は1939年の横須賀海軍共済病院追浜分院創設まで遡る。以来、長きにわたり、神奈川県災害拠点病院、がん診療連携拠点病院、救命救急センターなどの役割を担ってきた。整形外科、中でもスポーツ整形外科は有名で、研修医の人気の的だ。
新棟(中央棟)を中心にした改築工事は2011年3月に始まり、第3期工事終了まで約6年をかけて、16年12月に完成した。今後は、1983年建築の外来棟の建て替えを予定している。
中核となる新棟は災害拠点病院にふさわしい耐震強化を施し、災害時の患者の緊急搬送に備え、余裕のあるスペースを院内各所に確保した。
直線距離にして約3㎞で海岸線に出るため、防潮対策として地下を造らなかったり、電気室や自家発電機室を3階に置いたりするなど、最悪の事態に備えた造りにした。
また、救急患者を24時間受け入れるべく、救命救急体制を強化した。オペ室は7室から11室、集中治療室(ICU)は6室から20室にそれぞれ拡充。新棟内にICU・CCU(冠疾患集中治療室)病棟を新設し、専任の医師やスタッフを配置した。
旧病棟は横浜市の高さ制限のため4階建てで、2棟並んでいたが、公開空地(緑地)を市に提供することで、8階建ての新棟を実現。外来棟にあった手術室を新棟に集約したことで、患者を最大200m以上ベッドで病室に運ばなければならなかったケースが解消された。
以前は駐車場に通じる道路が狭く、渋滞しがちだったが、緩和策として駐車場ゲートを敷地の奥に設けることで、車の渋滞を敷地内に取り込んだ。
緩和ケア病棟などが入る4階建ての南棟と、新棟を併せた病床数は565床。改築前の655床からは減ったが、その分、多床室は6床から4床へとゆとりのスペースを確保。また、病床の回転率を上げることが出来、療養環境の改善にも繋がった。
改築により、救急医療を核とした病院として、地域の新たな期待に応えている。
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