SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

相次ぐ集団強姦で叫ばれる「医師のモラル低下」

「医学部は人数も少なく繋がりは強い。とはいえ、強い結束力が犯罪に向かうとは言語道断だ」と50代の医学部教授が語気を強める忌まわしい事件が相次いで発覚した。

 1月31日、千葉地裁で開かれたのは、千葉大医学部生による卑劣な集団暴行事件の初公判。いずれも医学部5年の吉元将也(23歳)、山田兼輔(23歳)、増田峰登(23歳)の3被告は昨年9月、千葉市の居酒屋トイレで酩酊状態だった20代女性に代わる代わる乱暴したとされ、吉元と山田が集団強姦、増田が準強姦罪で起訴された。3人が居酒屋に行ったのは実習の打ち上げのためで、実習を指導し、飲み会を企画した研修医の藤坂悠司被告(30歳)も準強制わいせつ罪で起訴された。被告らが被害者の女性を撮影し共有していたことや、具合が悪くなった女性を学生の家に連れて行きそこでさらに暴行を加えるなどしていた。

 さらに、似たような事件は埼玉でも発覚した。「埼玉県警は2月、10代の女性を酔わせ、性的暴行を加えたとして、船橋中央病院研修医、上西崇(31歳)と東京慈恵会医科大付属病院研修医、松岡芳春(31歳)、東邦大医学部生、龍佑(25歳)を集団準強姦容疑で逮捕した」(全国紙記者)。上西はこれが5回目の逮捕で、これまでも松岡らと共に同様の犯行を繰り返していたとされる。犯行現場となったのは、上西が借りていた東京都大田区西蒲田のマンション。室内には隠し部屋があり、女性に乱暴するために使われていたというから悪質極まりない。

 千葉大事件と同じく、3人の接点もまた「医学部」だった。上西、松岡は柁原が通う東邦大医学部出身で、3人は私大医学部にありがちな開業医の息子。同大関係者によると、上西は卒業まで12年かかり学内でも話題の人だった。一方の松岡は「派手に遊んでいたと報じられているが、病院では特に悪い噂は聞いたことがない」(同病院関係者)。しかし、捜査関係者は「一連の犯行を主導していたのは松岡だった可能性もある」と明かす。

 二つの事件は、ともに警察が公表に後ろ向きという点にも共通点があった。千葉県警は当初、逮捕した学生を匿名で発表。政治家や法曹関係者との繋がりが噂されたが、その後、逮捕者に法曹界の大物の孫が含まれていることが分かった。「山田被告の高祖父は日本法曹界の父と言っても良いほどの大物で、祖父、父も東大を卒業して弁護士になった。まさにエリート一家です」(司法担当記者)。埼玉の事件も、5回目の逮捕にしてようやく報じられるなど、県警の対応は鈍かった。

 「ただでさえ、強制わいせつや強姦は被害者からの訴えが無いと事件化されない親告罪。集団強姦は親告罪では無いものの、共犯者との供述のズレを埋めるなど捜査は難しい」と全国紙記者は解説する。学費が高い医学部だけに医師や医学部生には良い家柄の子女も多く、法曹関係者の息子や地元の大物である開業医の息子が相手となれば、警察もやりにくいのだろう。なお、医師法は罰金以上の刑に処された者には医師資格を与えないと定めており、事件に関与した医学生が医師になるのはほぼ絶望的だ。また、種々の犯罪で有罪が確定した医師は厚生労働省から処分を受ける。「集団強姦、しかも被害者が複数となれば、医師免許取り消しはほぼ間違いない」と厚労省担当記者。

 前述の教授は「少子化の中、医学部は定員を増やし続け、人気も高まるばかり。教育現場では学生のレベル低下が問題となっており、今後も同様の事件が起きる可能性がある」と予言する。仲よき事は美しき哉、と記したのは「友情」の著作で知られる武者小路実篤だが、人を救うはずの医師とその卵が集団で犯した罪はあまりにも醜い。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

Return Top