100年超の歴史を引き継ぐ新病院
160 日本医科大学付属病院(東京文京区)
「谷根千」(谷中・根津・千駄木)と呼ばれ、古い街の姿が残る東京都文京区で100年以上の歴史を誇る日本医科大学付属病院。1910(明治43)年に開院して以来、地元文京区はもちろんのこと、台東、足立、荒川、葛飾など周辺区域からも患者を受け入れ、地域医療を支えてきた。
文京区内で四つの大学病院が競り合う中、同病院は救命救急センターの先駆け的な存在として、東京都の救急医療に貢献している。特定機能病院の役割の他、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、エイズ治療拠点病院の指定も受けている。
同大学は、2006年に再開発事業「アクションプラン21」をスタートさせた。1968年に建てられた病院は老朽化が進んだため、2010年から建て替え工事を開始した。現在地で病院の機能を維持しながら新しい建物を築くため、工区を順繰りに移し替えていく工事で、18年1月にフルオープンする予定だ。
本館は完成すると、地下3階、地上12階となる。
患者の利便性を考え、60の診察室をいくつかのブロックに分かれた診療ブースにして各科で共有して利用する「ユニバーサル外来」を導入した。これによって、各科の垣根がなくなり、院内の横のつながりも強化された。
また、中央会計システムを取り入れたことで、会計の待ち時間も大幅に短縮した。
手術室は従来よりも広くし、設備は極力壁に埋め込み収納できるようにした。また、高度救命救急センターの上層階に病棟を設け、患者搬送の導線を改善。
総合診療センターには24時間365日、複数の診療科の専門医らによる混成チームが常駐している。救急を含めた初診の患者で何科を受診すればいいのか分からないケースに総合的に対応している。
患者支援センターも充実させ、入院から退院までを看護師、ソーシャルワーカー、コメディカルら約50人のスタッフで対応。患者の希望を病棟にフィードバックしたり、退院後のより良い療養を行うための支援を行っている。
新病院は、地域の急性期を担う医療機関として、今まで以上に期待されている。
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