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「兵庫方式」を推し進める 塩崎厚労大臣のつまずき

「兵庫方式」を推し進める 塩崎厚労大臣のつまずき

「兵庫方式」を推し進める
塩崎厚労大臣のつまずき
 相模原市の障害者施設で7月に起きた死傷事件を受け、再発防止策を検討する厚生労働省で、措置入院から退院後も継続して対象者を見守る兵庫県の独自制度に、塩崎恭久大臣が熱視線を送っている。昨年3月、同県洲本市で措置入院歴がある男が5人を刺殺した事件を受けて県が導入したもので、「兵庫方式」とも言われている。8月に現地を視察した際、塩崎氏は「患者が県を越えて転居することもある。全国統一の制度が必要だ」と述べ、兵庫方式の全国展開が現実味を帯びてきた。

 ところが、この動きに思わぬつまずきが出た。「厚労省は10月下旬、不正な申請をして精神保健指定医の資格を取得していた精神科医89人の処分を決定した。不適切な資格取得は12都府県にわたったが、中でも28人と突出して多い処分者を出したのが兵庫県だったのです」(厚労省担当記者)。

 相模原の事件でも、逮捕された男の措置入院を判断した医師の1人の不正取得が疑われた。医師は厚労省の処分を待たずに資格を返納したため処分対象とならなかったが、措置入院や退院の決定という強大な権限を有する資格取得が不正にまみれていたことが明らかになった。にわかに精神保健福祉〝先進県〟と注目された兵庫県とて、洲本事件を防げなかった反省から新制度を導入したばかり。今回の不祥事で指定医のレベルも疑われる事態となり、兵庫の精神保健医療を見習おうとした厚労省はとんだ赤っ恥だ。

 制度開始から半年が過ぎた同県からは「これ以上見守り対象が増えたら対応できない」「見守りをいつまで継続するのか。打ち切る判断は誰が行い、どう責任を取るのか」と早くも苦悩の声が聞こえる。果たして兵庫方式は本当に導入できるか。

朝日新聞「全面降伏」の
年金改正〝大誤報〟
 今や訂正が毎日のように掲載されるようになった朝日新聞だが、その朝日に「訂正して、おわびします」と19行に及ぶ訂正記事が出たのは10月26日のこと。「あまりに長い訂正なので意味が分からなかった」と厚労省職員は苦笑するが、その中身は決して笑えるものではなかった。

 さかのぼること4日、22日の朝刊1面で、朝日が掲載したのが「年金 不適切な試算」という見出しの記事。塩崎厚労大臣が衆院厚労委員会で、厚労省が不適切な計算方式を使って年金試算をしていたことを明らかにした、と報じた。記事は、別の方式で計算すれば、将来的に現役世代の平均的賃金に対する年金額を示す「所得代替率」が50%を割り込む可能性もあるとまで踏み込んだ。

 休日の土曜日に出た記事だったにもかかわらず、厚労省はその日のうちに朝日に抗議し、訂正を要求。実際には厚労省が用いた計算方式は法律で定められているもので、50%以上を確保することも同法で定められている。しかも、「記事は委員会での大臣答弁を真逆に解釈し、臨時国会で年金制度改正案を〝年金カット法案〟と批判する民進党を勢いづかせた」(全国紙記者)というから悪質だ。

 この訂正をただの事実誤認でないと反応したのがライバル紙の読売新聞。26日付朝刊で大きく取り上げ、「従軍慰安婦や吉田調書報道などで指摘された朝日の問題が改善されていない」とする専門家の見方まで紹介。一方の朝日は、26日の訂正にとどまらず、翌27日にほぼ紙面1枚を使い、年金の試算方法について解説。全面降伏となった。

 「1面記事を書いた筆者は厚労省の記者クラブに来たばかりだが、文化くらし報道部で年金記事も執筆し、社会保障に詳しい記者と思われていた」と同社関係者。まさかの〝大誤報〟は朝日の体質が変わっていない証拠なのか。

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