ベストライフ買収失敗の顛末
08年6月ごろ、MSは武富士から数百億の資金を調達。ベストライフ(BL)のM&Aに乗り出す。陣頭指揮はもちろん増村が取った。
ベストライフは全国で100ヵ所以上に有料老人ホームを展開。買収後はハンプシャー・キャピタル(HC)に転売する絵図があったともいわれる。「オーストラリアの年金資金を運用している」という触れ込みのHCの取締役・奈良篤と増村はダイナシティ時代、上司・部下の関係。悪くない商いになるはずだった。
「ところが、増村が下手を打ってしまった。何をしでかしたか知らないが、仲介した不動産会社XのY氏はBLを出切り禁止になったと聞いている。考えられない」(同前)
あまつさえ、増村はこの取り引きの過程で禁じ手を使っている。
「ヤクザ組織や右翼団体とのつながりを強調して話しを半ば強引にまとめようとしたようです」(同前)
増村の交友関係は想像を絶する。「ヤクザや右翼の名をかたるんですからね。『仮にも企業の役員がめったなことを言うもんじゃない』とたしなめたんですけど。聞く耳を持とうとはしませんでした」(同前)
改めて確認するのもばかばかしいが、増村はMSの元役員だ。BLをめぐってはこんな話も噴出した。
「みらいケアとBLの2社で交わした機密保持契約書が外部に流出しているらしい」(前出事情通)
弊誌の取材では少なくとも数社に誓約書の写しが渡っている。MSの脇の甘さは他に類を見ない。
増村の知己はほかにも数多くいるようだ。ビジネスパートナーだった日本サンアースを通じて介護大手・メディカジャパンの神成裕会長とは昵懇の間柄。神成は08年に丸紅偽造保証書問題で名前が浮上したいわくつきの人物。病院乗っ取りで知られる「新田グループ」とも接近を図っている。グループの頭目である新田修士は04年に逮捕、収監された。
汚れ仕事は他人に任せ、おいしい密は自分だけ吸う。仮にもコンサルを名乗る人物の流儀ではあるまい。
増村の悪行はまだある。09年12月、BLは十数億円の税を納める必要に迫られていた。増村は国税庁OBが運営するNPO法人に裏工作を依頼。納税の期限を今年3月まで引き延ばすことに成功している。
「手数料として200万円ほどをせしめたらしい。別にBL側から頼んだわけではない。同社は困惑や怒りを隠せませんでした」(同前)
BLの案件はMS社長・上島健史と専務・中津康雄のライン主導で進められたともいわれている。
増村はM&Aに関しても、首尾・不首尾を問わず、着手料や経費は着実に請求する。これも有名な話。
「紹介した案件が失敗でも、デューデリジェンス(投資対象への事前調査)の費用として2000万円を平気で抜いた。こっちは完全に持ち出し。やってられません」(同前)
証券会社・みらい証券の行状
こんあ増村をうまく利用した感のある直属の上司・矢野も「したたかで横柄。相当なワル」(同前)との評がある。増村とは得難い名コンビだったのかもしれない。
「MSという看板を背負っていれば、何でもありの商売ができるのか。増村のような人間でもいっぱしのコンサルを名乗れる。こんなことでいいんですかね。」(前出経営者)
本来なら、事実関係の確認を取るため、MSとMAMに接触を図るところだ。だが、8月の取材時に矢野が代理人と指定してきた石上法律事務所の石上晴康弁護士から「もう連絡はしてくるな」と言明されており、かなわなかった。
病院を、いや医療・福祉をここまで食い物にしながら、恬として恥じることがない。こんないかがわしい人物をこのままのさばらせていいのか。所管の金融庁や厚生労働省の目も節穴としか言いようがない。
今回、弊誌の報道を契機に証券会社・MSの行状の一端が明らかになった。買収後も旧MS勢力の動向には注視が必要だ。医療の自律・自立を邪魔する集団を許すようなことがあってはなるまい。買収の名を借りて「敵前逃亡」にも等しい隠蔽を図る両名には引き続き経営者としての説明責任を求めていきたい。
みらい証券社長・上島、常務・中津以下、同社経営陣に告ぐ。社名通りの「みらい」が自分たちにあるなどとはゆめゆめ思わぬことだろう。
増村章仁は「寿老福祉会」という社会福祉法人の理事長になっています。
特別養護老人ホームの経営をしていますが、この法人は創設時に藤田(改名前は歌代)という詐欺師が絡んで設立したのですが、初代理事長は自己破産しており、いわくつきの法人です。
増村は、以前、春秋福祉会という社会福祉法人の理事長にもなっていた時期がありますが、この法人は反社勢力の巣窟です。
他にも、増村については色々な噂があります。