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これまでとは違う2012年度診療報酬改定の意味

  辛うじてプラスとなった2012年度診療報酬の改定率。全体(ネット)で0.004%(医療費ベースで16億円)のプラスだ。10年ぶりのプラスとなった前回(2010年)の0.19%に続き、2回連続のプラス改定となった。
  長年、診療報酬の改定をウォッチしている業界誌記者は「ここまで刻み込んだ改定率は初めて。前評判はマイナス改定だっただけに、わずかといえども、よくプラスにした。小宮山洋子・厚生労働相は意外と頑張った」と感心していた。
  医師の技術料にあたる本体部分は1.379%のプラスで、薬価・材料費を1.375%引き下げて捻出する約5500億円を財源にする。この薬価の引き下げ分には、長期収載品(後発品のある先発品)の0.9%追加引き下げ分(医療費ベースで約250億円)が含まれていないため、それを加味すると、「診療報酬全体で実質マイナス」ともいえる。
  本体部分の内訳は、医科がプラス1.55%、歯科がプラス1.70%、調剤がプラス0.46%と、歯科が高くなっている。前回改定でも医科の1.55%に比べ、歯科は2.09%と優遇された。民主党政権が誕生した09年の総選挙の際、民主支持をいち早く決めた日本歯科医師会に対する露骨な論功行賞と言われたが、今年も総選挙の可能性が取り沙汰されていることから、「選挙対策では」(医療関係者)といううがった見方もある。
  6年に一度の同時改定となる介護報酬も全体で1.2%のプラス。内訳は在宅系サービスがプラス1.0%、施設系サービスがプラス0.2%。しかし、介護職員の処遇改善交付金が廃止されるため、実質的にはマイナスとなる。
  12年度の診療報酬改定の最大のポイントは何か。そのヒントは、社会保障と税の一体改革に基づき、厚生労働省が厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に提出した「将来像に向けての医療・介護機能強化の方向性イメージ」のチャート図の中にある。
  そこには、11年、15年、そして高齢者人口がピークになる25年における病院・病床機能の分化、居住系サービスや在宅サービスの拡充が示されている。15年の段階の一般病床は、25年には高度急性期、一般急性期、亜急性期に分化され、長期療養、介護施設、居住系サービス、在宅サービスの層も厚くなっている。厚労省は25年までに診療報酬の操作によって、この方向に誘導するつもりなのだ。今回の改定では、一見地味だが、在宅療養支援診療所における看取りの強化策などが注目される。
  その視点からすると、今回の改定は前回までとは違う。歴史的な経緯を振り返ってみよう。
04年に中医協汚職事件が発覚すると、翌05年に中医協改革が行われ、厚労相の諮問機関の社会保障審議会が改定の基本方針を策定、内閣が改定率を決定、中医協は点数設定や算定要件を決定と、中医協の権限が分散された。また、それまで改定率を実質的に決めていた厚労族のドンもいなくなった。 
  その結果、改定を実質的に仕切るようになったのは、社保審と中医協の事務局を務める厚労省保険局医療課長。「診療報酬改定時に医療に対する思いを入れ込んでいた。2年ごとに人事異動があるので、前後の改定には連動性はそれほどなかった」と前出の業界誌記者。しかし、12年度の改定以降は、社会保障と税の一体改革に沿った改定が行われるのだ。
  医療機関の関係者は25年を見据えた経営を行う必要に迫られている。


 

2012年1月18日 20:43 | 中医協・医療・厚生労働省・病院

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