再開後も前途多難な銚子市立病院
「患者が少ないのでは病院経営は成り立たない。もう立ち直れないでしょうね」
こう悲観的な感想を述べていたのは医療機関関係者のAさん。
再スタートした5月6日、医師5人が待機したが、夕方までに約20人が訪れただけだったという。銚子市病院再生室によると、1日平均の患者数は5月が10.9人、6月が13.4人、7月が19.5人。同室は「診療科数が少ないので当面は厳しいが、患者数は毎月少しずつ増えている」と話す。
同病院は医師不足と財政難などを理由に2008年9月に休止。存続を求める市民団体による前市長の解職請求(リコール)を経て、昨年5月の出直し市長選で再開派の野平匡邦氏が当選した。同病院は医療法人財団銚子市立病院再生機構が指定管理者となり、経営と診療を担い、常勤医1人、非常勤医9人体制で再スタートを切った。
再生事業計画によると、11年度は4科・医師7人・50床、12年度は7科・同15人・100床、13年度は10科・同20人・200床、14年度は医師30人で収支の黒字を目指している。
しかし、課題は多い。同病院は累積欠損金が07年度末で18億4000万円。総合病院になった1984年度から07年度までに市が一般会計から繰り出した総額は214億4000万円に上る。
市が同機構に支払う指定管理料は年間2億円。また、施設と設備の整備に10年度は1億5800万円を計上した。11年度から単年度黒字を見込む14年度までは毎年度1億5000万円を計上する。さらに、この間の赤字も補正予算で穴埋めするため、市の負担は大きい。
同機構は新たに専門医が増えれば診療科目を増やす方針だが、医師や看護師を再び集めるのも容易ではない。そもそも病院経営が成り立つほど患者がいるかという問題もある。
地元でいまだに言われていることがある。それは、「銚子市立総合病院はなぜ破綻したのか」という疑問だ。市民の間からは「その原因をきちんと分析して今後に生かすべきだ」という声が聞かれる。
また、「市民不在の市立病院」とも言われている。同機構の中核となる専務理事に病院経営の素人が座り、運営には市医師会や住民代表、現場医療者が参与できないからだ。病院再開を争点にした出直し市長選の熱気も市民の間から消え、不安と不信の中で銚子市立病院は船出した。
2010年8月27日 17:58 | 医療・病院


