「小鳩」主導で10年ぶりの診療報酬増額
診療報酬のプラス改定は民主党政権が掲げた看板政策の一つ。2010年度の改定折衝は昨年末、医師の技術料など「本体部分」を1.55%引き上げ、1.36%減の「薬価」を差し引いても全体で0.19%アップさせることで決着した。全体のプラス改定は00年度(0.2%増)以来、10年ぶりだ。参院選をにらみ、小沢一郎幹事長ら民主党執行部が、減額を求める財務省を押さえつけた格好。年明けから微増分の配分をめぐってもうひともんちゃくありそうだ。
「人を大切にする政権の第一歩を踏み出せた」。12月23日夕、藤井裕久財務相(当時)らとの折衝を終え、長妻昭厚生労働相は記者団に胸を張った。だが、今回の改定における長妻氏の役回りは「脇」に甘んじるしかないものだった。主役を演じたのは一貫して小沢氏と、その意向をくんだ鳩山由紀夫首相だった。
小沢氏は12月16日に党が政府に申し入れた重点要望18項目の中に診療報酬増を盛り込み、今夏の参院選での医療団体の支持取り付けを狙った。小沢氏の意向は首相を通じて平野博文官房長官に伝えられた。23日、首相官邸に藤井・長妻両氏を呼び出した平野氏は「うだうだ言わないでほしい」と2人に0.19%増をのむよう迫り、抵抗する藤井氏を「首相の意向だ」と押し切った。藤井氏は年明け早々の1月6日、体調悪化を理由に財務相を辞任するに至った。
小沢氏は診療報酬の伸びについて医科1.74%増、歯科2.09%増と区別をつけた。背景には次期参院選に向けての日本歯科医師連盟(日歯連)と日本医師連盟(日医連)の姿勢の温度差があるとされる。日歯連は自民党からの立候補を決めていた組織内候補の出馬をやめさせ、民主党支持を鮮明にした。これに対し、日医連は従来の自民支持方針こそ撤回したものの、自民現職の組織代表を擁立する決定自体は変えていない。
今回の増額改定の目的は、救急や産科、小児科など人手不足が指摘される病院勤務医の待遇改善に主眼がある。医療機関の収入に直結する「本体部分」は1.55%アップ、医療費ベースで約5700億円増となる。医科の改定率は入院3.03%増、外来0.3%増と入院報酬を厚くすることで勤務医の待遇改善を目指す。
一方で、厚労省は診療所(開業医)710円、中小病院600円と格差のある「再診料」の統一も打ち出している。診療所の再診料を引き下げ、その分を入院報酬にシフトすることで病院の収入増につなげる狙いだ。診療所の利益代表とみなされる日医連は日歯連との競争に敗れ、「診療所VS病院」の構図でも後塵を拝する気配。小幅の診療報酬増には「大きく失望し、憤りすら覚える」(中川俊男常任理事)と憤りを隠さない。
ただ、今回の改定が勤務医の処遇改善に直結する保証はない。09年度の介護報酬改定は一つの傍証といえる。「職員の待遇改善」を目的に3%増を実現したが、大きな効果は上がっていない。介護報酬は施設の経営者に支払われるため、職員にまで必ずしも配分されるわけではない。この点は医療機関も同様。病院の収入が増えても設備投資に回り、勤務医には行き渡らない可能性がある。診療所と病院の格差是正を名目に、結果として両者の分断が進めば、厚労省が最も重視する「病診連携」に影が差すことにもなりかねない。

「人を大切にする政権の第一歩を踏み出せた」。12月23日夕、藤井裕久財務相(当時)らとの折衝を終え、長妻昭厚生労働相は記者団に胸を張った。だが、今回の改定における長妻氏の役回りは「脇」に甘んじるしかないものだった。主役を演じたのは一貫して小沢氏と、その意向をくんだ鳩山由紀夫首相だった。
小沢氏は12月16日に党が政府に申し入れた重点要望18項目の中に診療報酬増を盛り込み、今夏の参院選での医療団体の支持取り付けを狙った。小沢氏の意向は首相を通じて平野博文官房長官に伝えられた。23日、首相官邸に藤井・長妻両氏を呼び出した平野氏は「うだうだ言わないでほしい」と2人に0.19%増をのむよう迫り、抵抗する藤井氏を「首相の意向だ」と押し切った。藤井氏は年明け早々の1月6日、体調悪化を理由に財務相を辞任するに至った。
小沢氏は診療報酬の伸びについて医科1.74%増、歯科2.09%増と区別をつけた。背景には次期参院選に向けての日本歯科医師連盟(日歯連)と日本医師連盟(日医連)の姿勢の温度差があるとされる。日歯連は自民党からの立候補を決めていた組織内候補の出馬をやめさせ、民主党支持を鮮明にした。これに対し、日医連は従来の自民支持方針こそ撤回したものの、自民現職の組織代表を擁立する決定自体は変えていない。
今回の増額改定の目的は、救急や産科、小児科など人手不足が指摘される病院勤務医の待遇改善に主眼がある。医療機関の収入に直結する「本体部分」は1.55%アップ、医療費ベースで約5700億円増となる。医科の改定率は入院3.03%増、外来0.3%増と入院報酬を厚くすることで勤務医の待遇改善を目指す。
一方で、厚労省は診療所(開業医)710円、中小病院600円と格差のある「再診料」の統一も打ち出している。診療所の再診料を引き下げ、その分を入院報酬にシフトすることで病院の収入増につなげる狙いだ。診療所の利益代表とみなされる日医連は日歯連との競争に敗れ、「診療所VS病院」の構図でも後塵を拝する気配。小幅の診療報酬増には「大きく失望し、憤りすら覚える」(中川俊男常任理事)と憤りを隠さない。
ただ、今回の改定が勤務医の処遇改善に直結する保証はない。09年度の介護報酬改定は一つの傍証といえる。「職員の待遇改善」を目的に3%増を実現したが、大きな効果は上がっていない。介護報酬は施設の経営者に支払われるため、職員にまで必ずしも配分されるわけではない。この点は医療機関も同様。病院の収入が増えても設備投資に回り、勤務医には行き渡らない可能性がある。診療所と病院の格差是正を名目に、結果として両者の分断が進めば、厚労省が最も重視する「病診連携」に影が差すことにもなりかねない。

2010年2月 1日 11:52 | 医師会・医療・医療政策・厚生労働省・政治


