「総合ヘルスカンパニー」富士フイルムのなりふり構わぬ医薬品事業
富士フイルムグループの中核企業、富士フイルムの医薬品事業での立ち回りが一部で注目を集めている。同社の創業以来の主力は写真フィルム事業だった。だが、カラーフィルム需要の大幅減に伴い、売り上げ高は全体の3分の1を割り、大苦戦を強いられている。過剰設備の廃棄と人員削減などのリストラに追い込まれたものの、2007年3月期決算で一応の終了を見た。
富士フイルムといえば、フィルム以外にもデジタルカメラや画像診断機器で名高い会社。10年に創立75周年を迎える名門である。06年には旧社名の富士写真フイルムから「写真」の二文字を削って現社名に切り替えた。写真フイルムの売上高に占める割合が00年の約19%から約4%に激減したのを機にしての変更である。かわって液晶ディスプレー材料やメディカルシステム、複写機などの事業に加えて、近年では化粧品や医薬品事業にまで乗り出し、「総合ヘルスカンパニー」を目指すと宣言した。
「ここにきてなりふり構わずの姿勢が目立ちます。典型的な例は新型インフルエンザの治療薬開発をはじめとする医薬品事業への挑戦でしょう」(医薬品業界関係者)
古森重高社長は「医薬品事業を10年後に現在の3倍の1兆円規模にしたい」と壮大なアドバルーンを上げた。目下、同社が富士フイルムホールディングス傘下の製薬会社・富山化学工業と共同開発しているのがインフル治療薬用の服用薬「T-705」。この提携にも実はやむにやまれぬ事情があった。
「巨額の開発用の資金が必要な富山化学と、フィルム事業が頭打ちになった富士フイルムの思惑が一致したわけです」(同前)
富士フイルムの医薬事業における強味は医薬品開発に不可欠な化合物ライブラリーを20万種ほど所持していることだ。その意味では決して単なる新規参入組とはいえない。同社は1990年代前半にもがんや糖尿病向けの医薬品事業に参入した経験がある。だが、あえなく失敗に終わった。今回の参入は再挑戦といえる。
インフル治療薬といえば、スイス・ロシュの「タミフル」がマスコミで大きく取り上げられている。もう一方の有力製品に英グラクソ・スミスクラインの吸入薬「リレンザ」がある。
富山化学の発表によれば、T-705は動物実験ではタミフルより治療効果が高いという。同じく開発中の第一三共の「CS-8958」や塩野義製薬の「ベラミル」などがライバル視される中、果たして富士フイルムと富山化学はタミフルやリレンザの牙城に迫ることができるのだろうか。
2009年12月28日 12:26 | 医薬品メーカー・富士フイルム・富山化学工業・経済


