くじの売れ行きが左右するスポーツ行政の不毛
180円──今どき、コーヒー一杯にもならない値段だが、これは日本の年間スポーツ予算を総人口で割った国民1人当たりの金額だ。ドイツ・ベルリンで8月に行われた世界陸上競技選手権大会で日本が取ったメダルは銀、銅各1個で、金はゼロ。まさに惨敗だった。「予算の貧困がこうした国内スポーツ低迷の一因になっている」との声が関係者の間で上がっている。
スポーツ予算225億円のうち、学校体育費を除くと158億円。これはオーストラリア(190億円)やフランス(600億円)の5分の4から4分の1にすぎない。強化費もみじめな金額だ。2008年度は約23億円で、米国は7倍、オーストラリアとロシアは5倍だ。昨年の北京五輪の総括会見で、福田富昭・日本選手団団長(当時)は「強化費は外国と比べものにならない。中途半端はやめて政府は思い切った強化策をとらないといけない」と憤りを隠さなかった。
一般市民向けのスポーツ振興策もお寒い状況だ。3年前、スポーツ施設を整備する地方自治体に対して建設費用を補助する「社会体育施設整備費補助金」が無くなった。小泉純一郎内閣が「三位一体改革」と称して地方への国庫補助を廃止したためだ。
文部科学省のスポーツ予算が減り始めたのは00年に入ってから。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(理事長=小野清子・元自民党参議院議員)による「スポーツ振興くじtoto」販売開始と軌を一にしている。totoはりそな銀行への業務委託により01年から販売を開始。初年度の売り上げは約604億円、助成金67億円だったが、その後はJリーグの人気下降などで年々減り、06年度は売り上げ100億台、助成金も1億円台まで落ち込んだ。業務委託料やその後の直営方式の導入などの経費もかさみ、センターの台所は火の車となった。
ただでさえ少ないスポーツ予算がtotoの導入で3分の2に減額された。そこで、センターが06年に売り出したのが高額賞金の「BIG」(ビッグ)。購入者ではなくコンピューターが予想するくじで、繰越金が貯まると1等当選金は6億円。これが奏功し、08年度の売上金は897億円に激増。34億円の累積赤字も解消し、来年度の助成金は65億円以上を確保できる見通しだ。
センターはホクホク顔だが、BIGの売り上げ見通しに厳しい見方をする競技関係者もいる。「今はたまたま売れているが、より高い賞金の宝くじができたらどうなるか分からない。そんな不安定な財源でスポーツを支援すること自体おかしい。国がしっかりとお金を出してスポーツを支えるべきだ」。
実際、BIGの売り上げは昨年と比べて4割減になっている。スポーツを盛り立てるための恒久的な財源としては、何とも頼りない。文科省もそれを認識しており、審議会で「スポーツ振興くじは売り上げによって変動する要素があるので必ずしもあてにできない。留意する必要がある」と説明している。
ちなみに、センターは「スポーツの振興と児童生徒等の健康の保持増進を図り、もって国民の心身の健全な発達に寄与すること」を活動目的に挙げている。8月に世界水泳選手権が開かれていたイタリア・ローマで客死した古橋廣之進・元日本オリンピック委員会会長は生前、「私はギャンブルの上がりをスポーツの財源にするのは反対だった。あんなものやるべきではない」と苦言を呈していたという。競技団体の関係者の一人は「廃止を急ぐべきだ」と言い切った。
スポーツ予算225億円のうち、学校体育費を除くと158億円。これはオーストラリア(190億円)やフランス(600億円)の5分の4から4分の1にすぎない。強化費もみじめな金額だ。2008年度は約23億円で、米国は7倍、オーストラリアとロシアは5倍だ。昨年の北京五輪の総括会見で、福田富昭・日本選手団団長(当時)は「強化費は外国と比べものにならない。中途半端はやめて政府は思い切った強化策をとらないといけない」と憤りを隠さなかった。
一般市民向けのスポーツ振興策もお寒い状況だ。3年前、スポーツ施設を整備する地方自治体に対して建設費用を補助する「社会体育施設整備費補助金」が無くなった。小泉純一郎内閣が「三位一体改革」と称して地方への国庫補助を廃止したためだ。
文部科学省のスポーツ予算が減り始めたのは00年に入ってから。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(理事長=小野清子・元自民党参議院議員)による「スポーツ振興くじtoto」販売開始と軌を一にしている。totoはりそな銀行への業務委託により01年から販売を開始。初年度の売り上げは約604億円、助成金67億円だったが、その後はJリーグの人気下降などで年々減り、06年度は売り上げ100億台、助成金も1億円台まで落ち込んだ。業務委託料やその後の直営方式の導入などの経費もかさみ、センターの台所は火の車となった。
ただでさえ少ないスポーツ予算がtotoの導入で3分の2に減額された。そこで、センターが06年に売り出したのが高額賞金の「BIG」(ビッグ)。購入者ではなくコンピューターが予想するくじで、繰越金が貯まると1等当選金は6億円。これが奏功し、08年度の売上金は897億円に激増。34億円の累積赤字も解消し、来年度の助成金は65億円以上を確保できる見通しだ。
センターはホクホク顔だが、BIGの売り上げ見通しに厳しい見方をする競技関係者もいる。「今はたまたま売れているが、より高い賞金の宝くじができたらどうなるか分からない。そんな不安定な財源でスポーツを支援すること自体おかしい。国がしっかりとお金を出してスポーツを支えるべきだ」。
実際、BIGの売り上げは昨年と比べて4割減になっている。スポーツを盛り立てるための恒久的な財源としては、何とも頼りない。文科省もそれを認識しており、審議会で「スポーツ振興くじは売り上げによって変動する要素があるので必ずしもあてにできない。留意する必要がある」と説明している。
ちなみに、センターは「スポーツの振興と児童生徒等の健康の保持増進を図り、もって国民の心身の健全な発達に寄与すること」を活動目的に挙げている。8月に世界水泳選手権が開かれていたイタリア・ローマで客死した古橋廣之進・元日本オリンピック委員会会長は生前、「私はギャンブルの上がりをスポーツの財源にするのは反対だった。あんなものやるべきではない」と苦言を呈していたという。競技団体の関係者の一人は「廃止を急ぐべきだ」と言い切った。
2009年9月25日 18:55 | 行政


